霞目キャンパス


福祉×地域の交差点

1階をカフェ、2階を共同住宅とした複合建築である。構造を3つの棟に分解し、まちに対して躯体をずらして繋いでいくことで、地域のスケールや風景の向きに呼応する居場所の連続で作りたいと考えた。1階は、地域食堂・カフェ&ギャラリー・工房が、就労支援事業の場としても重ね合わせて使われる。数人で集まってグループで調理補助が行えるカウンター、数人で輪になって作業するルーム、外に近い窓辺、ひとりになってクールダウンできるような小さなポケットなどをひだ状に引き伸ばし、さまざまな身体と心を置くためのムラのある環境をワンルームの中に連らせている。軒先は、法人が運営する畑の野菜を販売する直売所や、登下校する小学生のひと休みスポット、隣接するバス停でもあり、まちの時間によって内外に多様な居場所が絡まるように境界を設えた。

2階は、法人のスタッフのための寮で、主に外国からやってきた研修スタッフの生活の場でもある。単なる住まいとしてでなはく、語学や文化を共有し互いに学んでいくための場所として考え、吹き抜けを介してまちと気配を交換したり、個室と共用部の関係性を曖昧にしたりなど、躯体のズレや向きの関係によって、コミュニケーションのきっかけを散りばめている。施主である社会福祉法人ライフの学校は、まちをまるごと「学び舎」として捉え、老人福祉施設の運営を主体に、畑や保育などの地域活動も展開している。福祉事業を超えて、福祉と繋がった文化活動を地域で育み、気軽で身近なまちの居場所として、まちの生活や風景、地域の方たちと豊かな関係性を結んでいくための拠点となることを目指した。

  • 設計
  • 建築
    冨永美保・林恭正・柳沢優志・市川竜吾/tomito architecture
  • 構造
    鈴木芳典・鶴田翔/TECTONICA
  • 設備アドバイス
    山下直久・松井知行/Comodo設備計画
  • サイン
    長谷川哲士/minna inc.
  • 工事
  • 監理
    冨永美保・市川竜吾・柳沢優志・林恭正/tomito architecture
  • 施工
    八鍬英幸・菱沼真紀夫/ジャパンビルド株式会社
    小柴剛・鈴木祥晃/株式会社ユニホー
  • 写真
  • 新建築社写真部
  • tomito architecture
  • 概要
  • 所在地
    宮城県仙台市若林区
  • 主な用途
    寄宿舎+飲食店+就労継続支援B型
  • 敷地面積
    305.67㎡
  • 建築面積
    153.54㎡
  • 延床面積
    225.44㎡
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